メジャーという名のマイナースポーツ
加 藤 良 一2006年3月19日
ニュースを見ていて、めずらしくワイフが憤慨していた。アメリカで行われているワールド・ベースボール・クラシックWBC、米国対日本戦で判定が覆されるというとんでもない事件が起きたからだ。
判定を覆したのは「アメリカ人」の審判、それもメジャーリーグではなくマイナーリーグの所属だという。この審判は、他にも誤審をしている常習者だ。
それにしても数えるほどの国しか参加しないのに “ワールド” ベースボールとはこれいかに…(‘;’)。当然 “ワールド” と銘打つからには世界選手権のはずだろうに、必ずしもその国のベストメンバーが出ないのだから、いくらなんでも世界最高の大会とはいえないのではないか。
当たり前のこととして、2012年のロンドンオリンピックでも野球は競技種目から除外されている。開催国からしてみれば、開催期間中のわずかな試合だけのために野球場を作っても、終わったあと誰も使わない球場の処置に困ってしまうのは目に見えている。負の遺産となってしまうからである。
また、プロリーグとしてやっている野球をわざわざオリンピックでやる必要性があるかどうかの議論は、ここではとりあえず触れないでおくが、それ以前に野球が国際的なスポーツになりにくいのはルールの複雑さも絡んでいると思う。
とにかく一挙手一投足について事細かなルールができている。アメリカ人は、野球はじめ、アメリカンフットボール、バスケットボールなどなど自分たちだけのローカルルールを事細かに作るのが好きな人種のようだ。
さらに、多くの国際的なスポーツでは、対戦国以外の第三国が審判をやるのが常識である。もし対戦相手の国の審判が試合を牛耳るような国際試合があるとしたら誰が真剣になって戦えるだろうか。それを平然とやってしまうところが、野球なのである。
国際経験がないというより、もともとが国際間で戦うものではなく、あくまでアメリカならアメリカ、日本なら日本と、ローカルにルールを決めてやるのが野球なのである。
ルールのちがいの前に、一番重要なボールの大きさや球場の規格が一定していないようでは、とうてい国際化などできるわけがなかろうと思う。“自分たちだけ” ではなく、もっと “国際的ハーモナイゼーション” を意識しないと発展しないのである。